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MRIがぺーシングシステムに及ぼす潜在的リスク

MRIは画像診断技術の中でもX線などの放射線を使わないという点で安全性の高い検査です。
3つの磁場と生体に含まれる水素の原子核との相互作用を使って人体断面の画像を描き出します。

MRI検査で利用される3つの磁場

静磁場…超伝導磁石で発生させた1.5〜3テスラぐらいの強力な磁場です(1テスラ=10000ガウス)。超伝導磁石には常に電流が流れているため検査が終わっても強力な磁場が発生しています。水素の原子核を整列させたりくるくる回転させたりします。

傾斜磁場…原子核に位置情報を与えるための磁場です。短い時間で強い傾斜に達することができるほど(スルーレートが大きいほど)、撮像を高速に行えます。同じ時間内でスライス数を増やすこともできます。  RF磁場…静磁場と傾斜磁場で決まる原子核の回転の周波数(共鳴周波数)と同じ周波数の磁場を作って、原子核にエネルギーを与え、MR信号を発生させます。

RF磁場…静磁場と傾斜磁場で決まる原子核の回転の周波数(共鳴周波数)と同じ周波数の磁場を作って、原子核にエネルギーを与え、MR信号を発生させます。

MRI装置の断面図

磁場がデバイスに与えうる影響 静磁場 傾斜磁場 RF磁場
リードの発熱
RF電極(tip, ring)周囲の発熱により心筋組織を損傷する可能性があります。結果としてペーシング補捉閾値の上昇、ペーシング不全の可能性があります。
意図しない心刺激
ぺーシングシステムは体内で電気的なループを構成し傾斜磁場への曝露時にリード電極に電圧パルスを誘導し、心臓に直接刺激を与える可能性があります。また、RF磁場への曝露時に、システム内に発生するRF誘導電流が整流されることにより、意図しない心刺激が発生する可能性があります。
マグネットによるリセット
強磁場の影響によりマグネットレスポンスが働いたり、強磁場によりデバイスリセットがかかる可能性があります。
変位力、トルク
静磁場による変位力ならびにトルクによるペーシングシステムへの問題は実証されていません。しかしながら、患者様が不快に感じる可能性 はあります。
振動
傾斜磁場への曝露によりデバイス自体に及ぼす影響はありません。患者様が一過性の違和感を感じる場合があります。
画像アーチファクト
デバイス本体やリード周辺に、画像の歪みが生じます。検査対象部位がこれらの歪みを受ける場合には検査の有効性が影響されます。